「BtoBのマーケティングにはどんな手法があるの?」
「BtoBのマーケティング施策をいろいろ試しているけれど成果につながらない…」
「BtoBのマーケティングってBtoCと何が違うの?」
このような悩みを持つマーケティング担当者の方も多いのではないでしょうか。
BtoB商材はBtoCとは異なり、受注までの意思決定までに複数の決裁者がかかわるうえ、検討期間も長くなりがちです。そのため、単にリードを集めるだけでは成果につながりません。
商談・受注までの長いプロセスを前提に、段階ごとの最適なマーケティング手法を選び、部門間で連携しながら施策を実行する必要があります。
そこで本記事では、各フェーズごとのBtoBマーケティングの手法について徹底解説。リード獲得から受注までの全体像や成果を上げるためのポイントまで網羅的に紹介します。
どのフェーズにどんな手法が有効なのかを理解し、戦略的なマーケティングを行うために、ぜひ参考にしてください。

少しボリューミーな内容となっていますが、最後まで読めば今何をすべきかが明確になるはずです!
BtoBマーケティングとは?
BtoBマーケティングとは、企業が他の企業(法人)に向けて行うマーケティング活動のことを指します。
自社の商品やサービスを企業に購入・導入してもらうことを目的に、リードの獲得から商談、受注までを一貫して戦略的に設計・実行していく点が特徴です。
BtoBでは、購買までの意思決定が複雑で長期化しやすいため、各フェーズにおいて適切な施策を実行することが欠かせません。

BtoCと異なるBtoBの意思決定の流れ
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの最大の違いは、「意思決定に関わる人数」と「検討期間の長さ」です。
BtoCでは、消費者が自分の判断で意思決定をすることが多く、購入までの流れがとてもシンプルです。
一方、BtoBの場合は、担当者・上司・決裁者など、複数の関係者が関与し、最終決定までに時間がかかる傾向があります。
それぞれの具体的な違いについて、以下の表で確認してみましょう。
比較項目 | BtoBマーケティング | BtoCマーケティング |
---|---|---|
顧客 | 法人(企業) | 個人(消費者) |
購買関与者 | 複数(担当者・管理職・経営層など) | 基本的に1人 |
意思決定までの期間 | 数週間〜数ヵ月以上 | 数分〜数日 |
購入動機 | 業務改善・コスト削減・売上拡大などの合理性重視 | 感情・好み・ブランドなどの情緒面が強い |
重視される情報の種類 | 実績・導入事例・ROI(費用対効果) | デザイン・価格・使いやすさなど |
以上を踏まえると、BtoBでは「すぐに買ってもらう」ことではなく、信頼構築や継続的な情報提供を通じて、ゆっくりと関係性を育てていくことが大切だといえます。
BtoBマーケティングの主な戦略・フレームワーク
個別の手法を実行する前に、まず全体の戦略や組織体制の基盤となる考え方を導入することが重要です。
現在、BtoBマーケティングにおいて広く用いられる主要な戦略・フレームワークは下記の3つになります。
戦略 | 概要 |
---|---|
The Model(ザ・モデル) | 営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4つに分業し、各部門が連携して売上最大化を目指すフレームワーク。 |
アカウントベースドマーケティング(ABM) | 売上への貢献度が高い優良顧客企業(アカウント)をターゲットとして明確に定義し、そのターゲットに特化したアプローチを行う戦略。LTV(顧客生涯価値)の最大化を狙います。 |
デマンドジェネレーション | 「リードジェネレーション(見込み客創出)」「リードナーチャリング(見込み客育成)」「リードクオリフィケーション(見込み客の選別)」の3つのプロセスで構成され、質の高い商談を創出するための活動全般を指します。 |
BtoBマーケティングの5つのフェーズ
BtoBマーケティングは、大きく分けて以下の5つのフェーズに分かれます。
- リード獲得(リードジェネレーション):見込み顧客を集める段階
- リード育成(リードナーチャリング):関心度を高め、商談につなげる段階
- リード選別(リードクオリフィケーション):受注見込みの高い見込み客を選別する段階
- 商談獲得:問い合わせや打ち合わせへ導く段階
- 受注率の最適化:提案やクロージングで受注に結びつける段階
それぞれのフェーズごとに顧客の心理やニーズは異なるため、適切な施策を選ぶことが成果のカギとなります。
以下の表に、各段階の目的と代表的な施策をまとめました。
ステージ | 目的 | 代表的な施策例 |
---|---|---|
リード獲得 | 見込み顧客の情報を得る | SEO対策、広告、ウェビナー、展示会、ホワイトペーパー、CTA改善、SNSの活用 など |
リード育成 | 興味を維持・深化させる | メールマーケ、MAツール・CRMの活用 など |
リード選別 | 良質な見込み顧客を見つける | スコアリング、MAツール、SFA、CRMの活用など |
商談獲得 | 商談のアポを獲得する | インサイドセールス部門の立ち上げ、SFA導入、失注顧客へのフォローアップ など |
受注率の最適化 | 商談の成約率を高める | 事例提示、スコアリング、提案資料テンプレートの作成、事業部間連携、商談分析 など |
このように、フェーズごとに目的と最適な施策を整理し、戦略的に実行していくことが、BtoBマーケティングで成果を上げるための基本です。
では、それぞれのフェーズごとに用いられる具体的な手法について、以下で詳しく見ていきましょう。
オンライン上でのリード獲得手法
近年のBtoBマーケティングにおいて、オンラインでのリード獲得は最も重要な施策のひとつです。
特に近年は、顧客自身がWeb上で情報を調べ、比較・検討したうえで問い合わせを行うケースが増えています。
そのため、自社の商品やサービスを見込み顧客に見つけてもらい、「まずは検討候補に入れてもらう」ことが重要です。
ここでは、SEOや広告、ホワイトペーパーなど、オンライン上で見込み客を獲得する代表的な手法を紹介します。自社のターゲットや予算、商材に合わせて、最適なチャネルを選んでみましょう。
BtoBサイトの制作
オンラインのBtoBマーケティング手法の根幹となる、「BtoBサイト」を制作しましょう。
BtoBサイトとは、法人向けにサービスや製品の情報を提供し、問い合わせや商談、受注へとつなげることを目的としたWebサイトのことです。
特設のサービスサイトを構築してもよいですし、既存のコーポレートサイトがある場合は、そこに紐づける形でも問題ありません。
BtoBサイトはのちに紹介するSEO対策や広告配信、オウンドメディア、ホワイトペーパーなど、多くのオンライン手法のハブとなるような存在です。
そのため、デザイン面だけでなく、以下のような点をおさえた良質なものを制作するようにしましょう。
- 検索エンジンに評価されやすい内部構造
- ホワイトペーパーの掲載機能
- 導入事例記事の投稿機能
- ブログ記事の投稿機能
- CTAの設置
- ノーコードで運用可能
- 優れたUI/UX
- 強固なセキュリティ など

デザインのきれいなWebサイトを制作できる会社は多いですが、BtoBマーケティングでしっかりと成果の出せるWebサイトを制作できる会社はほとんどありません。依頼先の会社選びが非常に重要なので、慎重に検討するようにしましょう。
SEO対策
SEO(検索エンジン最適化)は、Googleなどの検索エンジンで上位表示を狙い、見込み客を自然流入で獲得する手法です。
ネット検索が当たり前の現代において、顧客の多くはサービスの検討段階でWeb上でリサーチを行い、「どんなサービスが良いのか」「自社の課題を解決するにはどうしたらいいのか」を調べています。
その点、SEOで検索上位を獲得できれば、自社サイトが多くの顧客の目に触れることになるため、自然と検討候補に挙がりやすくなるのです。
実際、検索上位に表示されるかどうかでは、検索面(SERPs)でのクリック率は大きく異なります。
検索順位 | クリック率 |
---|---|
1位 | 39.8% |
2位 | 18.7% |
3位 | 10.2% |
4位 | 7.2% |
5位 | 5.1% |
6位 | 4.4% |
7位 | 3.0% |
8位 | 2.1% |
9位 | 1.9% |
10位 | 1.6% |
また、BtoBにおいては、「〇〇 方法」「〇〇 自分で」などの課題解決型の検索キーワードを通じて、検討初期段階のユーザーと接点を持てる点でも大きなメリットがあります。
例えば、SEO記事制作サービスを提供している当社の場合、「記事作成」や「SEO記事制作代行」などのキーワードで、検索上位を獲得したことで、多数のリード獲得に成功しています。

このように、自社がターゲットとするユーザーが検索するであろうキーワードでSEO対策を行うことで、受注確度の高いリードを効率的に獲得できる可能性もあります。

SEO対策はやみくもに行っても簡単に成果が出るわけではありません。当社ではSEOに関するノウハウや基本知識についてコンテンツで配信しているので、ぜひそちらも参考にしてください。

広告配信
オンラインでのリード獲得手法としては、広告配信も代表的です。
ただし、広告配信は最短で成果を出しやすい一方、広告費用が発生する点で戦略的な活用が求められます。
例えば、検索連動型のリスティング広告は課題を自覚している層へのアプローチに有効な一方、ディスプレイ広告やSNS広告は認知獲得やブランド想起の強化に向いています。
また、比較サイト型の資料掲載広告や記事広告などは、比較検討層に刺さりやすいため、高いCV率が期待できる点で魅力があります。
このように、広告の種類によって効果は異なるので、ターゲットとするユーザーや求める顧客層に合った広告を選ぶことが大切です。
以下では、代表的な広告種別ごとのメリット・デメリットをまとめました。
リスティング広告
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果ページに、ユーザーが検索したキーワードと連動して表示されるテキスト形式の広告のことです。「検索連動型広告」とも呼ばれます。
▼リスティング広告の例

▼メリット
- 顕在層に直接リーチ可能
- 即効性がありCVにつながりやすい
- コストコントロールが自在にできる
▼デメリット
- 競合が多くクリック単価が高騰する場合がある
- 潜在層には広告を届けにくい
- 運用スキルが必要

はじめての広告運用の場合は、スモールスタートできて効果が出しやすいリスティング広告か、後で紹介するSNS広告から始めるのがおすすめです。

資料掲載型広告
資料掲載型広告とは、企業が作成した「お役立ち資料(ホワイトペーパー、サービス紹介資料、導入事例集など)」を資料請求サイトなどの広告媒体に掲載し、その資料のダウンロードと引き換えに、ユーザー(見込み客)の個人情報(社名、氏名、メールアドレスなど)を取得することを目的とした広告手法です。
▼資料請求サイトの例

▼メリット
- 比較・検討段階の高確度リードにリーチできる
▼デメリット
- リード単価が高めになりやすい
- 相見積もりになる場合がある
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトやスマートフォンのアプリ内に設けられた広告枠に表示される広告のことです。テキストだけでなく、画像(バナー)や動画を用いて視覚的にユーザーへ訴求できるのが大きな特徴です。
▼ディスプレイ広告の例

▼メリット
- 潜在層への認知拡大に有効
- バナー形式で幅広くリーチ可能
▼デメリット
- クリック率やCV率が低め
- 成果の出し方に工夫が必要
アドネットワーク広告
アドネットワーク広告とは、多数のWebサイトやアプリ、ブログなどの広告媒体(メディア)を束ねて形成された「広告配信ネットワーク」を通じて、まとめて広告を配信する仕組み、またその広告そのものを指します。
▼メリット
- 多媒体へ自動配信されるためスケーラビリティが高い
▼デメリット
- 配信先のコントロールが難しく、ブランド毀損リスクがある
DSP
DSPとは「Demand-Side Platform(デマンドサイド・プラットフォーム)」の略で、広告主(Demand-Side)側の広告効果の最大化を目的としたプラットフォーム(ツール)です。
複数のアドネットワークや後述するSSPなどを横断して広告を配信し、それらを一元的に管理することで、広告主の収益や広告効果の最大化を目指します。
▼メリット
- 精度の高いターゲティングが可能
- 広告効率が高い
▼デメリット
- 配信設計がやや複雑で、設定に専門知識が必要
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、自身のウェブサイトやブログ、SNSなどで企業の商品やサービスを紹介し、閲覧者がそのリンクを通じて商品購入やサービス登録などの「成果」を発生させた場合に、紹介者(アフィリエイター)が報酬を受け取れる「成果報酬型」の広告モデルです。
▼メリット
- 精度の高いターゲティングが可能
- 広告効率が高い
▼デメリット
- 配信設計がやや複雑で、設定に専門知識が必要
純広告
純広告(じゅんこうこく)とは、特定のWebサイトやアプリの広告枠を、特定の期間や表示回数を保証する形で買い取り、掲載する広告のことです。
「予約型広告」や「保証型広告」とほぼ同義で使われます。
運用型広告(リスティング広告やDSPなど)が、オークション形式で広告の表示機会を買い付けるのに対し、純広告は、新聞や雑誌の広告枠を予約するように、「このサイトのこの場所を、この期間、うちの広告でジャックします」という契約を媒体社(Webサイト運営者)と直接または広告代理店を通じて行います。
▼メリット
- 信頼性の高い媒体に固定枠で掲載されるため、認知とブランディングに効果的
▼デメリット
- 掲載料が高く、CTRやCVRが見合わないこともある
ネイティブ広告
ネイティブ広告とは、掲載されるWebサイトやアプリのデザイン、コンテンツ、フォーマットに自然に溶け込むように作られた広告のことです。
バナー広告のように「いかにも広告」といった体裁ではなく、メディアが元々提供している記事や投稿などのコンテンツと一体化しているため、ユーザーに広告であると意識させにくく、自然な形で情報を提供できるのが最大の特徴です。
▼メリット
- コンテンツに自然に溶け込む形で表示されるため、ユーザーの抵抗感が少ない
▼デメリット
- 表現次第では広告感が出て炎上するリスクも
記事広告・タイアップ広告
記事広告とタイアップ広告は、広告主が媒体社(Webメディア、ニュースサイト、オンラインマガジンなど)に費用を支払い、自社の商品やサービスに関する記事コンテンツを制作・掲載してもらう広告を指します。
▼メリット
- 媒体の信頼性を活用しつつ、自社のストーリーを伝えられる
- 魅力を伝えるのに説明が必要な商品に向いている
- これまでなかった新しいタイプの商品やサービスの宣伝に向いている
▼デメリット
- 制作に手間がかかる
- 費用が高額
SNS広告
SNS広告とは、Facebook、X(旧Twitter)、Instagram、LINE、TikTokなどのSNSプラットフォーム上に配信される広告のことです。
特にFacebookやLinkedinなど経営層、ビジネスマンの利用が多いSNSは、BtoBマーケティングの重要なチャネルとして広く用いられています。
SNS広告の最大の特徴は、精度の高いターゲティングです。
ユーザーが登録した年齢、性別、居住地などのプロフィール情報や、「いいね!」、フォロー、投稿、シェアといったSNS上での行動履歴、さらにはウェブサイトの閲覧履歴など、様々なデータを活用して広告を配信する相手を細かく設定できます。
リスティング広告やディスプレイ広告とは、以下のように使い分けると良いでしょう。
- すぐに売上や問い合わせが欲しいなら → リスティング広告
- 新商品やブランドを広く認知させたいなら → ディスプレイ広告
- 特定の趣味・関心を持つ層に届けたいなら → SNS広告
▼メリット
- 業種・役職などBtoBターゲットを細かく設定可能
- 興味関心からもターゲットを絞り込むことが可能
- 顕在層から潜在層まで狙える
▼デメリット
- CVまでの導線設計が必要で、運用方法が悪いと十分な成果が出ない
- リスティング広告ほどは明確に顕在層が狙えない
動画広告(YouTubeなど)
動画広告とは、その名の通り動画フォーマットを活用したオンライン広告全般を指します。テキストや静止画だけでは伝えきれない情報や世界観を、映像と音声を通じてユーザーに届けることができる非常に強力なBtoBマーケティング手法です。
YouTubeやSNSのタイムライン、Webサイトのコンテンツ内など、今やインターネット上のあらゆる場所で動画広告が活用されています。
▼メリット
- 業種・役職などBtoBターゲットを細かく設定可能
- 興味関心からもターゲットを絞り込むことが可能
- 顕在層から潜在層まで狙える
▼デメリット
- CVまでの導線設計が必要で、運用方法が悪いと十分な成果が出ない
- リスティング広告ほどは明確に顕在層が狙えない
デジタル音声広告(Spotify等)
デジタル音声広告とは、Spotifyのような音楽ストリーミングサービスや、radiko(ラジコ)などのインターネットラジオ、ポッドキャストといったデジタル音声コンテンツの合間に配信される音声主体の広告です。
従来のラジオCMと似ていますが、インターネットを介して配信されるため、ユーザーのデータに基づいた精緻なターゲティングが可能な点が大きく異なります。
「耳のスキマ時間」にアプローチできる新しい広告手法として、BtoBマーケティングにおいても活用が急速に拡大しています。
▼メリット
- 通勤・作業中に接触可能で新しいターゲット層にリーチできる
- 広告がスキップされにくく、メッセージを最後まで伝えやすい
- 競合が比較的少ない
▼デメリット
- 視覚情報を伝えられない
- クリックなどの直接的なアクションに繋がりにくい
- 効果測定が難しい
メール広告
メール広告とは、その名の通りEメール(電子メール)を活用して配信される広告のことです。古くからある手法ですが、BtoBマーケティングにおいて今なお重要な役割を担っています。
▼メリット
- 既存リストを活用してセグメント別に効率的に配信可能
- 能動的にアプローチ可能(プッシュ型)
- 高い費用対効果
▼デメリット
- スパム判定や到達率の課題があり、配信設計に工夫が必要
さまざまな広告の中から、自社の課題や状況に合ったものを選ぶことで、効率的なリード獲得に期待できるでしょう。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、広義には自社で保有するメディアの総称です。
したがって、言葉の定義としてはwebサイトやブログ、SNSの他、パンフレットなども含まれます。
ただしBtoBマーケティングにおいては、一般的にオウンドメディアというと「リード獲得を目的とした自社ブログ」のことを指します。
例えば、弊社の方でも以下のように「ULTRAブログ」を運営しており、多数の記事を公開中です。

オウンドメディアは、SEOで検索上位が取れるように制作された「SEO記事」が中心です。
例えば、以下のように「記事作成ツール」と検索した際に自社の記事が上位になっており、検索エンジン経由でターゲットユーザーからのアクセスを集めています。

また、記事内には以下のようにCTA(問い合わせに誘導するボタンなどのこと)が設置されており、リード獲得に結び付けています。

なお、BtoBマーケティングにおけるオウンドメディア運用のポイントや成功事例について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ターゲットユーザーにとって価値のある、有益な情報(コンテンツ)を継続的に作成・提供することで、潜在的な顧客や見込み客の興味を引きつけ、関係性を深め、最終的にリードや受注へとつなげるマーケティング手法のことです。
従来の広告のように「売り込み」を前面に出すのではなく、顧客が抱える課題や疑問に寄り添い、それを解決するための情報を提供することに重点を置きます。
先ほど紹介したオウンドメディアの運用も、コンテンツマーケティングに含まれます。
その他、YouTubeチャネルやSNSアカウントの運用もコンテンツマーケティングの一種です。

ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、特定の課題に対する解決策や業界知見をまとめた資料のことです。
BtoB領域では、見込み顧客に向けて有益な情報をホワイトペーパーとして提供し、ダウンロードと引き換えに企業名や連絡先などのリード情報を取得する手法として広く活用されています。
例えば、IT系企業であれば、以下のような「セキュリティ対策10のチェックリスト」や「SaaS導入事例集」などの実務に役立つホワイトペーパーが有効です。

また、ターゲットとする顧客層に応じて複数のホワイトペーパーを用意するのもおすすめです。
- 課題を自覚している層(顕在層):ソリューション提案型の資料や他社サービスとの比較表 など
- まだ課題に気づいていない層(潜在層):業界トレンドや調査レポート など
ホワイトペーパーの配信は、自社サイトやLP、広告に加え、比較サイトや外部メディアとの連携も有効です。
最近は、Facebook広告でホワイトペーパーを配信する手法が、CPA数千円でリードを獲得できる手法として流行しています。
また、ダウンロード後のメールマーケティングとセットで設計することで、商談化率の向上にもつながります。

ホワイトペーパーはリード獲得以外にも、ナーチャリングやブランディングなどさまざまな面でメリットがあります。BtoBマーケティングにおいては必須ともいえる手法なので、自社で提供できるノウハウや情報がないか確認し、作成を検討しましょう。
ウェビナーの開催
ウェビナー(Webセミナー)は、オンライン上で実施するセミナー形式のマーケティング手法です。
BtoBにおいては、見込み顧客の「情報収集フェーズ」にアプローチできる有効な手段として注目されています。
ウェビナーのテーマは、「業界トレンドの解説」「導入事例の紹介」「よくある課題とその解決策」など、参加者の関心や職種に合わせて設計するのが効果的です。
例えば、チャットボットサービスを提供している「ChatPlus」では、以下のような業界の最新情報についてウェビナーを開催。自社の導入事例なども紹介しており、確度の高いリードを効率的に集めていることがわかります。

なお、ウェビナー開催後は、参加者の反応やアンケート結果をもとに、インサイドセールスによるフォローコールや、スコアリングに基づくナーチャリングを実施することで、商談化率の高いリード育成につなげることも可能です。
CVR改善
BtoBマーケティングのリード獲得手法としては、WebサイトのPV数など「流入」に注目されがちです。
しかし、リード獲得施策のゴールは「流入」ではなく、「リードの情報(担当者の名前や会社名、役職など)の取得(コンバージョン)」です。
そのため、自社サイトに流入したユーザーが資料請求やホワイトペーパーのダウンロード、問い合わせなどのアクション(コンバージョン)を起こすまでの導線整備も欠かせません。
具体的には、以下のような方法で導線を整備し、CVR改善(コンバージョン率改善)施策を行うことをおすすめします。
- CV(コンバージョン)ポイントの改善
- CTAの改善
- フォームの最適化
- チャットツールの導入
- ヒートマップによるUX分析
以下では、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

なお、ここでは「リードの獲得」をCVとして解説していきます。
CVポイントの改善
CVRを高めるには、CVポイントを見直すことが第一歩です。
特にBtoBの場合、「問い合わせフォーム」だけに頼るとCVの機会は限定されてしまいます。
そのため、複数のCVポイントを戦略的に設定することが重要です。
代表的なCVポイントの例は以下の通りです。
- ホワイトペーパー・eBookのダウンロード
- 導入事例資料の請求
- 無料相談・見積もり依頼
- メルマガ登録
- セミナー・ウェビナー参加申し込み
例えば、バックオフィス支援システムを提供する「バクラク」では、自社サイト内に以下のように複数のCVポイントを用意し、さまざまなフェーズのリード獲得につなげています。

このように、検討初期段階のユーザーには「資料ダウンロード」、検討が進んだユーザーには「無料相談」をCVポイントとして提示するなど、ユーザーの検討フェーズに応じたCV設計もポイントです。
CVポイントを1つに絞るのではなく、段階ごとに複数用意しておくことで、見込み顧客との接点を増やし、最終的な商談・受注へとつなげやすくなります。

ユーザー視点で見ても「問い合わせはこちら!」と誘導されるよりも、「資料ダウンロード」などで段階的に誘導されるほうが心理的なハードルは低いです。いきなり距離を縮めようとするのではなく、複数のCVを通じて少しずつ関係性を構築していくとよいでしょう。
CTAの改善
BtoBのオウンドメディアでリード獲得のCVRを向上させるには、CTA(Call To Action)設計の見直しも不可欠です。
CTAとは、「資料をダウンロード」「無料相談する」など、ユーザーに次のアクションを促す重要な導線のことです。
効果的なCTAにするためには、以下のポイントが重要です。
- ページ内容との整合性:たとえば「DXの課題を解説する記事」には「DX支援サービス資料DL」など、関連性の高いCTAを設置。
- 視認性:PC・スマホ両方で見やすいデザインと配置(記事中、記事下、サイドバーなど)。
- 訴求力のある文言:「今すぐ無料でダウンロード」「3分で入力完了」など、メリットやハードルの低さを明示。
実際に、当社では以下のようにコンテンツごとにCTAを設置し、SEOについて気になったユーザーが気軽に問い合わせ・相談ができるような導線を設けています。

CTAは、小さな改善でも成果に直結しやすい領域です。定期的にABテストを行い、ユーザーの行動データに基づいた改善を継続していきましょう。

極端な話ですが、月間で1,000セッションのページがあるとして、CTAの改善でCVRが1%アップすれば、問い合わせ数は10件変わります。コンテンツごとのCTA改善は地道な作業が必要ですが、その分成果も出やすいので、積極的に取り組みましょう。
フォームの最適化
せっかくCVポイントを見直したとしても、申し込みや登録のフォームが使いづらいと離脱されてしまうおそれがあります。そのため、リード獲得CVRの向上を目指すなら、入力フォームの最適化も欠かせません。
入力フォーム最適化のことを、EFOと言います。
特にBtoB領域では、以下の施策が効果的です。
- 入力項目の最小化:検討初期のCVでは、氏名・メールアドレス程度に絞るとCV率が上がりやすい。
- ステップフォームの活用:一度に全てを見せず、2~3画面に分割して心理的ハードルを下げる。
- 完了率の表示:フォーム内に現在の完了率を表示し、入力モチベーションを維持する
- エラー表示のわかりやすさ:入力ミスがすぐに分かるように、インラインエラーを導入。
- スマホ最適化:スマホ表示での操作性向上(タップ領域・スクロールの短縮など)。
フォームはユーザーの最後の離脱ポイントになりやすいため、定期的に分析・改善を重ねていくことが重要です。
チャットツールの導入
最近では、BtoBサイトにおいても、リアルタイムでの問い合わせ対応やナーチャリング強化の手段として、チャットツールの導入が注目されています。
以下は、MAツール等を提供するHubSpotがWebサイトに設置しているチャットツールの例です。

主な導入パターンは以下の2つです。
- チャットボット型:あらかじめ設計されたQ&Aフローで、24時間自動対応が可能。よくある質問や資料ダウンロードへの誘導に最適。
- 有人チャット型:営業やサポート担当がリアルタイムで対応。温度感が高いユーザーとの商談接続率を高める効果がある。
チャットボットによって、ユーザーがその場で解決策を探せたり不明点を明確にできたりすることで、結果的に資料ダウンロードや問い合わせなどのCVにつながる可能性があります。
チャットツールは導入コストも比較的低く、フォーム離脱対策やCV向上に直結しやすいため、他の施策と組み合わせて実装することを検討するとよいでしょう。

チャットボットと聞くと導入ハードルが高いようにも聞こえますが、最近では自社サイト内に簡単にチャットボットを実装できるサービスも増えています。
ヒートマップによるUX分析
オウンドメディア上のリード獲得CVRを改善するには、ヒートマップを用いてユーザーがどこで離脱しているのか、どこに注目しているのかを視覚的に把握することも大切です。

ヒートマップを用いた代表的な分析視点は以下の3つです。
- 熟読エリア:ページのどこがよく読まれているか
- クリックエリア:どのボタン・リンクがクリックされているか
- マウスホバーエリア:ユーザーが注目している領域(PC)
- スクロール率:ページのどこまで読まれたか
例えば、ページトップのボタンが全くクリックされておらず、ページの中盤や終盤の箇所でクリックが多く発生している場合、その周辺のコンテンツがユーザーに刺さっている可能性があります。
その場合、ページ内のコンテンツの順序を入れ替えることで、CVRの向上が見込めるでしょう。

ヒートマップにはさまざまなものがありますが、とりあえず導入する場合は無料で使える「Microsoft Clarity」がおすすめです。
リードジェネレーションサービス
リードジェネレーションサービスとは、自社の代わりに見込み顧客情報(リード)を集めてくれるサービスのことです。
代表的なものには、比較サイト・資料請求サイト・業界専門メディアなどがあり、掲載することで月数十件〜数百件単位のリード獲得が期待できます。
業界ごとの代表的なリードジェネレーションサービスは、以下の通りです。
業界 | ポータルサイト例 |
---|---|
SaaS(IT)業 | ITトレンド、ITreview、アイミツSaaS など |
広告 | メディアレーダー、アドクロ など |
BPO(外注・代行) | b-pos など |
製造業 | 工場ワークス |
業界総合型 | 比較.jp、比較ビズ など |
ただし、これらのサービスはあくまで「リードの量を確保する手段」として活用するのがおすすめです。
特に、ポータルサイト経由で獲得したリードは「一括問い合わせ」などで集まっているケースも多く、自社サイト経由で獲得したリードとは質が異なります。
そのため、強力なインサイドセールスチームやリードナーチャリングを前提とした取り組みが必要になることを覚えておきましょう。
SNSアカウント運用
SNSマーケティングは、ソーシャルメディア上で自社の認知を拡大し、リードの獲得を目指す手法です。
BtoB領域では、特にLinkedIn・X(旧Twitter)・Facebookなどが活用されており、オウンドメディアやホワイトペーパーへの誘導など、ユーザーとの接点づくりの場として有効です。
当社でも代表がXでSEOに関するノウハウを発信しています。

ただし、SNSは直接的なリード獲得よりも、認知・関係構築・信頼形成の土台づくりに強みがあります。
そのため、広告やコンテンツマーケティングとあわせて活用することが大切です。

最近では、社員一人ひとりがSNSアカウントを活用し、日々の業務や業界に関する情報を発信するケースが増えています。
ユーザーにとっては、「継続的に業界情報を発信している=専門性があり信頼できる存在」と映るため、企業への関心が高まりやすくなり、結果としてリード獲得のハードルを下げる効果も期待できるでしょう。
YouTubeチャネル運用
YouTubeチャネルの運用も、BtoBマーケティングの手法として取り入れる企業が増えてきています。
これまではBtoC(企業対消費者取引)のイメージが強かったYouTubeですが、成功している企業が増えてきたことによりBtoBにおいても強力なマーケティングツールとなり得るという認識が一気に広がりました。
例えば、税理士YouTuberのヒロ税理士は、税金や会社設立に関連する動画を投稿し、チャンネル登録者は42万人です。

動画の概要欄には、以下のように顧問弁護士に関するお問い合わせを獲得するためのCTAを設定しています。

ユーザーに刺さる発信ができれば、時に爆発的なマーケティング効果が期待できるのも魅力です。
フォームマーケティング
フォームマーケティングとは、ターゲット企業のWebサイトに設置された「お問い合わせフォーム」から直接アプローチするマーケティング手法です。
営業リストに記載された企業のメールアドレスが不明な場合でも、問い合わせフォームを通じてメッセージを届けられるのが特徴です。
通常のメールマーケティングのように一斉配信はできませんが、開封率が高く、確実に担当者の目に触れる可能性が高い点でメリットがあります。
ただし、スパム扱いを避けるためには、内容を送信先ごとにカスタマイズするなどの工夫が欠かせません。
プレスリリース配信
BtoBマーケティングにおいて、プレスリリースの配信も広く用いられる有効な手法です。
プレスリリースの配信とは、企業が自社の新しい情報を、新聞、テレビ、雑誌、Webメディアといった報道機関(メディア)に向けて公式に知らせる活動のことを指します。
適切に配信することで、認知度や信頼度の向上、リードの獲得につなげられます。
プレスリリースの配信は、「PRTimes」等の配信サービスを活用して行うのがおすすめです。
1回の配信で100以上の報道機関やメディアに対して、プレスリリースを配信できます。
他メディアへの寄稿
他メディアへの寄稿も信頼性や権威性を向上させる手段として、BtoBマーケティングでよく用いられています。
他メディアへの寄稿とは、自社の役員や専門知識を持つ社員が、外部のWebメディアや業界専門誌などに専門家として記事を執筆し、掲載してもらうマーケティング施策です。
「ゲストポスト」や「記事寄稿」とも呼ばれます。
記事LP
記事LPとは、ランディングページ(LP)の一種でありながら、通常のLPとは異なり「記事形式」で情報を提供するWebページです。「読み物型LP」「記事型広告」と呼ばれることもあります。
一方、通常のLPは、主に商品やサービスの購入、資料請求、問い合わせといった最終的なコンバージョン(CV)を即時獲得することを目的としています。画像やキャッチコピーが中心で、情報を絞り込み、ユーザーの視線を誘導するデザインが特徴です。

BtoBマーケティングにおいては、顕在層がいない目新しいサービスや、魅力を伝えるのに文章による論理的な商材の販促に用いられています。
広告配信はネイティブ広告で配信するのが基本です。

オフラインでできるリード獲得手法
近年ではオンラインのリード獲得手法が主流となっていますが、業界や商材の特性によってはオフライン施策がリード獲得の要となるケースもあります。
特に、製造業・建設業・医療・地域密着型サービスなど、対面での信頼構築や現物確認が重視される分野では、オフラインの施策がむしろ効果的でしょう。
また、デジタルチャネルが飽和している今こそ、オフラインならではの体験価値を通じて他社と差別化を図ることも可能です。
そこでここからは、BtoBマーケティングにおけるオフラインのリード獲得手法を紹介します。
セミナーの開催
セミナーは、特定のテーマに関心を持つ見込み顧客を集客し、自社の専門性を伝えることで信頼を醸成できるオフライン施策です。
特に、製造業や医療、専門商材など、検討期間が長く、詳しい説明が必要な業界で有効です。
また、オフラインセミナーはウェビナーと比べて参加ハードルが高い分、より購買意欲が高いリードを獲得できる点でもメリットがあります。
なお、開催時は、アンケート取得・次回案内などの後日の商談化を見据えた導線設計も欠かせません。また、オンラインセミナーとの併用も検討しましょう。

普段はオンラインセミナーを実施し、年数回だけ交流会も兼ねたオフラインセミナーを開催するなど、オンライン・オフラインをうまく活用することが大切です。
展示会への出展
展示会への出展は、業界内での認知獲得と見込み顧客との接点づくりを同時に実現できるオフライン施策です。
ターゲット層が来場するイベントを選べば、短期間で多くの名刺獲得や商談機会を得ることができます。
例えば、マーケティングに関する展示会を開催している「マーケティングWeek」では、多くの参加者が展示会を通じたリード獲得に成功。
展示会をきっかけに商談につながったケースも多く、オンライン施策が主流になりつつある現在でも高い効果が期待できます。

ただし、イベントへの出店は、良くも悪くも出展者の展示内容によって成果が左右されやすい傾向にあります。そのため、事前準備にはそれなりの時間と手間がかかることを覚えておきましょう。
また、展示会はお礼メールや商談誘導などの出展後のフォロー設計が成功の鍵を握ります。

最展示会には情報収集目的で多くの業界人が訪れるので、思わぬ大企業の顧客との出会いにもつながるかもしれません。
テレアポの実施
テレアポ(電話営業)は、リストに基づいて見込み顧客に直接アプローチする王道のリード獲得手法です。
特にターゲットが明確なBtoBビジネスにおいては、商談化率の高い手法として多くの企業が取り組んでいます。

実際に弊社でも専任部隊がテレアポを行い、毎月安定した商談数を獲得しています!
また、ある程度結果が計算できるのもテレアポの魅力です。
営業力や業界にもよりますが、大体100~150コールで商談が1件決められるので、オンラインの広告よりも費用対効果が高くなる場合も多くあります。
テレアポはアプローチ数が多いほど成果が出やすい施策です。
そのため、営業担当者ひとりひとりのアプローチ数が最大化するような組織作りが求められます。
飛び込み営業
従来広く用いられていた飛び込み営業は、昨今なかなか費用対効果が高まらないという点から、取り組む企業が大幅に減ってきています。
特定のエリアを集中して開拓したい場合などに、限定的に用いるようにしましょう。
マス広告
マス広告とは、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といった従来のマスメディアを活用した広告手法を指します。
BtoBにおいては馴染みが薄い印象もありますが、認知度の向上やブランディングにおいては一定の効果が期待できるでしょう。
例えば、業界紙での広告出稿や、ビジネス系テレビ番組での提供CMなどが代表例です。
また、最近では駅構内・電車・空港・タクシーなどの交通広告も注目されています。
特に、都心のターミナル駅などでは企業内の意思決定者や経営層の目に留まる可能性が高いため、訴求力のある手法といえるでしょう。
一方で、マス広告は配信のターゲティングが限定的であり、直接的なリード獲得やCVにはつながりにくい点がデメリットです。
屋外広告・交通広告(タクシー広告・エレべーター広告)
屋外広告・交通広告は、BtoBマーケティングにかなり有効です。
特に、タクシー広告は、企業の役職者や決済者層にリーチしやすいため、BtoBのリード獲得と非常に相性が良いです。
また、エレベーター広告もターゲットとする企業に絞り込んで、広告を届けられるためよく活用されています。
その他にも、喫煙所広告など、ビジネスマンに届けやすい広告があります。
書籍の出版
書籍の出版も、BtoBマーケティングに非常に有効な施策です。
代表やエース社員名義で、書籍を出版することで、その分野の専門家としての権威性や信頼性を確立できます。
また、書籍を読んだ見込み顧客は、すでに自社の考え方やサービス内容にある程度の理解を持っているため、問い合わせの質が高く、商談から受注までのリードタイムが短縮される傾向があります。
書籍をきっかけとした問い合わせから、高額な案件の受注につながる事例も多いです。
イニシャルコストや手間はかなりかかりますが、うまくはまれば抜群の成果を生むことができます。
紹介営業
紹介営業とは、既存顧客やパートナーからの紹介によって新規リードを獲得するマーケティング手法です。
特に、信頼関係が重視されるBtoB領域においては、成約率の高い営業手段として多くの企業が取り入れています。
例えば、導入後に成果を出した顧客から同業他社を紹介してもらう、販売代理店や業界団体からターゲット企業を紹介してもらう、などの方法があります。
実際弊社のクライアント様でも、成約企業から別の企業の経営者をFacebookを通じて教えてもらうという手法で、顧客開拓に成功しています。
また、紹介者にインセンティブを付与する制度を設けることで、紹介の促進も可能です。
紹介営業は一見属人的に見えますが、紹介の依頼方法を型化することで営業組織全体で再現性のある手法として活用することも可能です。
ダイレクトメール(DM)の送信
ダイレクトメール(DM)は、ターゲット企業に紙の資料やチラシを郵送し、商品・サービスについてアピールするオフライン手法です。
オンライン施策が主流の今だからこそ、「物理的に手元に残る」というアナログな特性が逆に印象に残りやすく、一定の反響を得られるケースもあります。
コストはかかりますが、封入物の工夫(手紙風の同封、ノベルティ同封など)で開封率や反響率を高めることも可能です。
業界誌への寄稿・広告出稿
BtoBマーケティングにおいて、業界誌への寄稿や広告出稿は、業界内での認知拡大や信頼性・権威性の向上に有効な手段です。
デジタルマーケティング全盛の現代において、Web媒体を主な寄稿・広告出稿先としている企業も多いですが、紙媒体もWebではリーチできない層に届くので、十分に効果があります。
特に、影響力のある業界誌への寄稿は自社を業界の「ソートリーダー(思想的指導者)」として位置づけるための強力なブランディング手法です。
ビジネスカンファレンス
BtoBマーケティングにおいて、自社主催のビジネスカンファレンスは、爆発的な成果が期待できる手法のひとつです。
そもそもビジネスカンファレンスとは、特定の業界やテーマに関心を持つ企業人、専門家、起業家などが一堂に会し、最新情報の収集、知識の共有、人脈形成、新たなビジネスチャンスの創出を目的として開催される大規模なイベント(会議・協議会)のことです。
集客力が高く、数百~時に数万名規模での開催も見込めます。
開催費もオンラインにすれば、比較的抑えられるため、費用対効果高く運用することができます。
パートナー/アライアンス戦略
パートナー/アライアンス戦略とは、自社の製品・サービスを補完する、あるいは同じ顧客層を持つ他の企業と協力関係(パートナーシップ)を結び、互いの強みを活かして共同でマーケティングや営業活動を行うことです。
例えば、SEOに特に強みを持つ弊社では、CVR改善支援が得意な企業やMAツールの企業、CMSの企業とアライアンスを結んでおり、お互いの強みを生かした顧客支援をしています。
リード育成(ナーチャリング)の手法|顧客と良好な関係を築く方法
BtoB商材は検討期間が長く、複数の関係者が関与することも多いため、リードを獲得したあとすぐに商談や契約につながるとは限りません。
そのため、時間をかけて信頼を築きながら「今すぐ客」ではない層を育てるナーチャリング(リード育成)が不可欠です。
リード育成の目的は、「なんとなく興味がある」段階の見込み顧客に対し、継続的に情報提供を行いながら理解・関心を深めてもらい、「商談に進みやすい状態」に引き上げることです。
ここからは、リード育成の代表的な手法とその活用ポイントについて解説していきます。
メールマーケティング
メールマーケティングは、獲得したリードが抱えるニーズや購買フェーズに応じた情報を届けることで、商談につなげるナーチャリング手法です。
具体的な施策としては、以下2つがあります。
- メルマガ配信
- ステップメール配信
それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
メルマガの配信
メルマガは、リードと継続的に接点を持ち、関係性を深めるための基本的なナーチャリング手法です。
メールマガジンを定期的に配信することで、自社の存在を思い出してもらうきっかけになり、商談のタイミングを逃しにくくなります。
配信内容としては、以下が代表的かつ効果的です。
- 新着記事の案内
- 導入事例の紹介
- サービス活用法の解説
- 業界トレンドの紹介
- セミナー告知 など
ただし、配信頻度が高すぎると配信停止やスパム扱いされるリスクがあるため注意しましょう。
週1~月2回程度のペースで配信し、件名や冒頭文にも工夫を凝らしながら、開封されるような設計を心がけましょう。
ステップメール配信
ステップメールとは、資料請求やセミナー申込などのアクションを起点に、あらかじめ設計されたシナリオに基づいて自動配信されるメールのことです。
見込み顧客の関心度に応じて段階的に情報を提供することで、商談や受注への移行を促します。
たとえば「資料ダウンロード後」に、
- 1通目:お礼メール+関連資料の案内
- 2通目:よくある課題とその解決策の紹介
- 3通目:導入事例の紹介
- 4通目:無料相談の案内
といった流れを設定することで、見込み顧客の理解と信頼を自然に高められるでしょう。
リマーケティング・リターゲティング広告の配信
リマーケティング・リターゲティング広告とは、自社サイトを訪れたことがあるユーザーに対して、その後も別サイトやSNS上で広告を表示する手法です。
検討フェーズにいる見込み顧客に繰り返しアプローチすることで、CVへの再誘導が期待できます。
例えば、サービス紹介ページを閲覧したが問い合わせに至らなかったユーザーに対して、後日「導入事例」「無料トライアル」のバナーを表示すれば、再訪率や商談化率の向上につながります。
主な配信手法としては、GoogleディスプレイネットワークやFacebook・Instagram広告、LinkedIn広告などが代表的です。
BtoB商材は、検討期間が長く離脱が多いという傾向があるため、リマーケティング広告によって、リードの再獲得や商談化の後押しをすることが欠かせません。
MAツール・CRMの導入
MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(顧客管理システム)は、リード育成を効率的に行うために不可欠ともいえるツールです。
ユーザーの行動データを収集・分析し、それぞれの興味関心やフェーズに応じた最適なアプローチを行えます。
例えば、MAツールでは「資料請求したが問い合わせには至っていないユーザー」に対して、数日後に導入事例のメールを自動配信するなど、ナーチャリング施策をスムーズかつ簡単に実行可能です。
一方、CRMは営業データと連携し、過去の接点履歴や案件状況を一元管理することで、フォロー漏れの防止や提案の最適化につなげることができます。
最近では、多くのMAツール・CRMが登場しているので、自社に合った機能を備えたものを選ぶとよいでしょう。
代表的なMAツール | 代表的なCRM |
---|---|
HubSpot Marketo BowNow | Salesforce Zoho |
リード選別(クオリフィケーション)の手法|良質な見込み客を見つける方法
獲得したリードを選別することは、営業・マーケティング効率を高めるうえで非常に重要です。
特に、リード数が増えてきた段階で重要性を増すので、以下のポイントをおさえ進めていきましょう。
- フレームワークを活用した定性的な選別
- リードスコアリングによる選別
- MAツールの活用
それぞれ解説していきます。
フレームワークを活用した定性的な選別
顧客へのヒアリングやインサイドセールス活動を通じて、特定の条件を満たしているかを確認し、「定性的」な絞り込みを行う際はフレームワークを活用しましょう。
代表的なフレームワークには以下のようなものがあります。
最も広く知られているフレームワークの一つで、4つの要素からリードの質を評価します。
要素 | 確認する内容 | ヒアリング質問例 |
Budget (予算) | 導入に必要な予算を確保しているか? | 「今回のプロジェクトには、どの程度のご予算を想定されていますか?」 |
---|---|---|
Authority (決裁権) | 意思決定に関与する権限を持っているか? | 「最終的なご決定は、どなたがなさるのでしょうか?」 |
Need (必要性) | 製品・サービスに対する明確なニーズがあるか? | 「現在、どのような課題に最もお困りですか?」 |
Timeframe (導入時期) | 具体的な導入・検討スケジュールがあるか? | 「いつ頃までの導入をご検討されていますか?」 |
BANTよりも詳細で、特に複雑なBtoB商材や大規模な案件に適したフレームワークです。
要素 | 確認する内容 |
Metrics (測定指標) | 導入によってどのような数値(ROI、コスト削減率など)を改善したいか? |
---|---|
Economic Buyer (決裁権者) | 最終的な予算の承認権を持つ人物は誰か? |
Decision Criteria (意思決定基準) | どのような基準(価格、機能、サポート体制など)で選定するか? |
Decision Process (意思決定プロセス) | どのような手続き(稟議、担当者会議など)を経て決定されるか? |
Identify Pain (課題) | 解決すべきビジネス上の痛み(課題)は何か? |
Champion (擁護者) | 導入を強く推進してくれる社内の協力者はいるか? |
これらのフレームワークを活用することで、リードの検討状況を構造的に把握し、営業担当者が次に取るべきアクションを明確にすることができます。
リードスコアリングによる選別
リードスコアリングとは、リードの属性情報や行動履歴に基づいて点数(スコア)を付け、その合計点で確度を定量的に判断する手法です。
マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用して自動化するのが一般的です。
スコアリングの設計例
スコアは「属性(Who)」と「行動(What)」の2軸で設計します。
【属性スコアの例】
項目 | 条件 | スコア | 理由 |
企業規模 | 従業員数500名以上 | +20点 | 主要ターゲット層であり、LTVが高い傾向 |
業種 | 製造業 | +15点 | 特に親和性の高い業種 |
役職 | 部長職以上 | +20点 | 決裁権を持っている可能性が高い |
役職 | 学生、競合 | -50点 | ターゲット外 |
【行動スコアの例】
項目 | 条件 | スコア | 理由 |
Webサイト | 料金ページの閲覧 | +15点 | 比較検討フェーズに進んでいる可能性 |
Webサイト | 導入事例ページの閲覧 | +10点 | 具体的な活用イメージを持っている |
コンテンツ | ホワイトペーパーDL | +10点 | 課題解決への意欲が高い |
メール | メルマガ開封 | +1点 | 継続的な関心がある |
メール | メール内のリンククリック | +5点 | より強い関心を示している |
ウェビナー | 参加登録 | +10点 | |
ウェビナー | 参加 | +20点 | 時間を投資して情報収集している |
問い合わせ | 製品に関する問い合わせ | +50点 | 非常に高い関心を示している |
行動 | 30日間アクションなし | -10点 | 関心が薄れている可能性 |
これらのスコアを合算し、事前に定めたしきい値(例:100点以上)を超えたリードを「有望なリード」として認定します。
MAツールの活用
MAツールは、リードクオリフィケーションの自動化において最も中心的な役割を担います。
- 主な機能
- リード情報の一元管理:Webフォームなどから獲得したリード情報を集約・管理。
- 行動トラッキング:Webサイトの閲覧ページ、メールの開封・クリック、資料ダウンロードなどの行動を追跡。
- リードスコアリング:上記の属性情報や行動履歴に基づき、リードの「見込み度」を自動で点数化。
- リードナーチャリング:スコアや属性に応じて、ステップメールやセミナー案内などを自動配信し、リードを育成。
- リードクオリフィケーションへの貢献
- 「料金ページを閲覧した」「導入事例をダウンロードした」など、関心の高い行動を取ったリードをスコアで可視化。
- スコアが一定のしきい値を超えたリードを「ホットリード(MQL)」として自動で抽出し、営業部門へ引き渡す候補を創出
商談の獲得手法|商談数を最大化するためのポイント
リードを獲得・育成したあとの次のステップは「商談化」です。リードの数が十分にあっても、商談に結びつかなければ意味がありません。
そこで重要になるのが、いかにスムーズにユーザーを商談フェーズへと移行させるかという点です。
ここでは、商談数を最大化するための代表的な手法を紹介します。導線設計の見直しやインサイドセールス体制の構築など、マーケと営業の橋渡し役としての取り組みも含めて見ていきましょう。
インサイドセールス部門を立ち上げる
商談数を安定して増やすには、インサイドセールス部門の立ち上げが有効です。
インサイドセールスとは、電話・メール・オンライン会議ツールなどの非対面の手法で見込み顧客にアプローチし、商談機会を創出する営業活動のこと。
フィールドセールスに比べてアプローチする数を増やしやすく、効率的に商談数を増やせるのが特徴です。
専任のインサイドセールス部隊がいることで、事前にリードに対してスコアリングやトークスクリプトを活用したヒアリングを実施し、ホットリードを見極めたうえで営業担当に引き継ぐことができます。

マーケティング担当者がリードのスコアリングやヒアリングまで行える規模であれば問題ないですが、一般的にリードの数は数百か数千件にも及ぶのでマーケティング部門ですべて対応するのは難しいでしょう。
そのため、リードの数が増えてきたタイミングでインサイドセールス部門の立ち上げを検討するのがおすすめです。
インサイドセールスで商談数を最大化するポイント
なお、インサイドセールスで商談数を増やすには、いくつかのポイントがあります。
ただ単に部門を立ち上げるだけでなく、以下のポイントを押さえて運用してみましょう。
ポイント | 内容(メリットなど) |
---|---|
リード獲得から5分以内に架電する | 温度感が高いうちに連絡することで、アポ取得率が大幅に向上。 |
複数回にわたって架電する(最低3回以上) | テレアポが1回でつながらないのは当然。リマインド架電をすることで、リードから時間が経ってから商談につながるケースも。 |
商談時間を「30分以内」で設定する | 時間の確保が難しい担当者にも提案の機会を得やすくなる。 |
アポ先のコアタイム(10時~16時)に社内会議を入れない | 最もアポが取りやすい時間帯に営業活動に集中できる体制を作る。 |
フィールドセールスとインサイドセールスを分業する | それぞれの役割とKPIを分けることで、育成と成果管理がしやすくなる。 |
アポ先に行くのに時間がかかる場合は優先度を下げる | 移動時間が多くなると効率が下がるため、訪問優先度を精査する。 |
提案資料や見積書類をフォーマット化する | 資料作成時間を短縮し、1日の商談対応数を増やせる。 |
事前にメールや電話で課題をヒアリングしておく | 初回アポでいきなり提案に入れるため、受注率が高くなる。 |
これらの取り組みを習慣化・標準化することで、インサイドセールスチーム全体の生産性と成果を引き上げることが可能です。
SFAを導入する
商談数や営業活動の進捗を可視化し、チームで成果を最大化するためには、SFA(Sales Force Automation)の導入も効果的です。
SFAを活用すれば、案件ごとの対応状況やステータス、次回アクションなどを営業チーム全員で共有できます。
そのため、「受注確度が高い案件が放置されていた」「フォローが漏れていた」といった機会損失を防ぐことが可能です。
また、行動履歴や成果データを蓄積できるため、営業施策の改善や育成にも活用できるでしょう。
過去の失注顧客へのフォローアップを行う
過去に失注した顧客は、「自社に関心を持ったことがある」有望な見込み層です。そのため、過去に失注した顧客へのアプローチも欠かせません。
「一度失注した顧客にアプローチしても無駄では?」と思うかもしれませんが、失注の原因は、「製品・サービスの導入時期が合わなかった」「予算や社内調整の問題で見送られた」などさまざまです。
そのため、失注原因によっては定期的なフォローアップを行うことで、再度商談化できたり、受注につながったりするケースがあるのです。
具体的には、失注理由を記録・分析し、数ヵ月〜半年後に状況確認の連絡を入れる、改善された新サービスや導入事例を紹介するなどのアプローチをしてみましょう。
また、メールや電話でのヒアリングを通じて、現在のニーズの変化を把握することも大切です。

CRMやSFAに過去の失注原因などを履歴として残しておけば、タイミングを逃さず効率的にアプローチできるでしょう。
商談の最適化手法|受注率をアップさせるコツ
商談は、BtoBマーケティングにおける最後の一手ともいえる非常に重要なフェーズです。
せっかく獲得した商談の機会も、提案や対応の内容によっては受注につながらず、これまでの施策や対応が無駄に終わってしまいます。
そのため、商談を成功させて受注率を高めるために、商談の設計やフォロー体制を最適化することがとても大切です。
ここからは、商談での受注率を向上させるための具体的な施策を紹介します。
リードのスコアリング
リードのスコアリングとは、見込み顧客の行動や属性に点数(スコア)をつけ、受注確度の高いリードを見極める手法です。
これにより、営業は「今まさに検討している」ホットリードに優先的にアプローチでき、無駄な商談を減らすことができます。
例えば、以下のような項目に対してスコアを設定するのが一般的です。
評価項目 | スコア例 |
---|---|
Webサイトの訪問回数 | 10点(1回ごと) |
ホワイトペーパーのDL | 30点 |
メールのリンククリック | 15点 |
セミナー参加 | 50点 |
業種・従業員数などの属性適合 | 20〜50点 |
なお、MAツールを使用すればスコアリングを自動で行ったり、一定のスコアを超えたリードを自動で営業部門に引き渡したりといった運用も可能です。

リードのスコアリングには「どんなリードが受注につながりやすいのか」という勝ちパターンを知っていることが前提です。やみくもなスコアリングは逆に受注率を下げるおそれがあるので、慎重に設計しましょう。
競合との差別化ポイントを比較表にまとめる
BtoBの商談においては、「なぜ他社ではなく御社を選ぶべきなのか?」という問いに、明確に答えられなければなりません。
そのためには、競合他社と自社を客観的に比較した「差別化ポイントの比較表」を用意し、提案時に活用することをおすすめします。
実際に、当社では以下のような比較表を作成し、ホームページで公開しています。

なお、比較表には価格や機能だけでなく、サポート体制や導入実績などの「非価格的価値」も含めるようにしましょう。単純な価格競争ではなく、そのほかの部分でも他社より優れていることがわかれば、受注率もぐっとアップするでしょう。
ソリューション提案を行う
BtoBの商談では、単なる商品説明ではなく、相手企業の課題やニーズに応じた「ソリューション提案」が重要です。
相手が抱える業務上の問題を的確に把握し、自社サービスを通じてどう解決できるのかを論理的かつ具体的に提示しましょう。
例えば、以下のようなステップで提案内容を作成すると効果的です。
- 現状の課題ヒアリング:業務フローや課題感、過去の取り組みなどを事前に把握
- 課題の整理と明確化:ヒアリング内容をもとに、相手が自覚していない問題点も含めて整理
- 自社サービスとの接点提案:その課題をどのように解決できるのかを機能・導入効果ベースで説明
- 事例・数値による裏付け:過去の導入事例やROI数値を活用して信頼性を補完
このように「商品を売る」のではなく、「どんなことを解決できるのか」を示す姿勢が信頼獲得と受注率アップにつながります。
導入事例や成功事例を紹介する
BtoBの商談では、相手企業の「本当に効果があるのか?」「他社ではどうだったのか?」という不安を払拭するために、導入事例や成功事例を提示することも大切です。
特に、自社と近い業種や課題を持った企業の事例は、説得力のある材料となります。
なお、成功事例を提案時に活用する際は、以下のような内容を整理しておくとよいでしょう。
項目 | 内容の例 |
---|---|
企業名・業種 | 製造業B社(従業員300名) |
課題 | 営業管理が属人化しており、受注率が低迷 |
提案内容 | SFAツールの導入と営業フロー改善 |
実施施策 | 営業データの可視化、週次の受注レビュー体制構築 |
導入効果 | 商談化率が25%→38%に向上、受注スピードが約2週間短縮 |
実名掲載が難しい場合でも、「同業他社」や「◯◯業界」など、できるだけ相手が状況をイメージしやすい形で紹介することがポイントです。
資料やサイトにも掲載しておくことで、商談前のナーチャリングにも活用できます。

当社でもSEO支援の実績や成功事例を紹介し、利用前にどんなメリットを得られるのかをイメージしやすいように工夫しています。
受注への勝ちパターンを分析する
商談の成功率を高めるためには、過去の受注事例をもとに「勝ちパターン」を明確にすることが重要です。
例えば、「最初からマネージャークラスと商談できたケースは受注率が高い」「ホワイトペーパーをダウンロードしている顧客は受注率が高い」など、受注につながりやすいリードの傾向がわかれば、打つべき施策も変わってきます。
なお、勝ちパターンを洗い出す際は、以下のような観点から分析するのが効果的です。
分析項目 | 分析例 |
---|---|
業種・企業規模 | IT業界・従業員100〜300名の企業で高確率で受注 |
商談チャネル | インサイドセールス経由の案件が高確度 |
キーマンの役職 | 決裁権のある部長クラスが同席した商談で受注率が高い |
商談回数 | 初回提案から2回目で決まるケースが多い |
提案資料の特徴 | 導入事例を盛り込んだカスタム提案が効果的 |
このような分析結果をマーケティングや営業チームで定期的に実施・共有することで、勝ちパターンを組織全体で共有することが可能です。
さらに、ナレッジをもとに提案内容やアプローチ方法を標準化することで、全体の受注率の底上げにも期待できるでしょう。
失注原因を分析する
受注率を高めるには、「なぜ失注したのか」を正しく把握することも欠かせません。
失注分析を行うことで、商談のボトルネックや改善すべき営業プロセスを特定でき、次回以降の成約率アップにつなげることができます。
失注原因を分析する際は、以下のような項目をチェックすると効果的です。
分析項目 | 例 |
---|---|
失注理由の分類 | 価格が高い、競合に劣る、タイミングが合わない、決裁者不在、予算不足など |
商談プロセスの問題点 | ヒアリング不足、提案資料が汎用的、関係構築が不十分 など |
タイミング | 年度末・繁忙期で顧客に余裕がなかったなど |
営業対応の質 | フォローが遅い、課題を正確に捉えきれていなかった など |
失注理由は営業自身が主観で判断してしまうことも多いため、できるだけ複数の視点で分析したり、CRMの記録を通じて定量的に判断したりすることが大切です。

失注原因は、顧客から直接聞くのが理想的です。もし失注の理由を聞き出せる関係性であれば「今後のために教えてほしい」といった切り口で確認してみるとよいでしょう。
商談のトレーニングを行う
商談の成否は営業担当者のスキルに大きく左右されます。そのため、営業部隊の継続的なトレーニングも欠かせません。
特にBtoBでは、複雑な課題や複数の意思決定者への対応が求められるため、属人的なやり方に頼らない「再現性のある営業スキル」の習得が必要です。
ここでは、商談力をアップするためのトレーニング方法について、詳しく見ていきましょう。
営業ロープレを実施する
営業ロールプレイング(ロープレ)は、実践形式で商談スキルを磨けるトレーニング手法です。
架空の顧客役と営業役に分かれ、模擬商談を繰り返すことで、実際の現場に近い形で経験を積むことができます。
特にBtoB営業では、以下のような効果が期待できます。
- 提案力やヒアリング力の向上:「相手の課題を正確に聞き出し、解決策を提示する」という商談の基本動作を繰り返し練習できます。
- 反応に応じた柔軟な対応力の強化:想定外の質問や異論に対して、臨機応変に返す力が養われます。
- フィードバックによる改善サイクルの形成:ロープレ後には録音・録画やフィードバックを通じて、改善点を客観的に把握できます。
なお、ロープレのテーマは「新規商談」「価格交渉」「他社比較の質問対応」など、現場の課題に応じて設計しましょう。定期的に実施し、営業チーム全体のスキル底上げにつなげることが重要です。
インタビューやアンケートで顧客理解を深める
商談の受注率を高めるためには、顧客のニーズや意思決定プロセスを深く理解することも欠かせません。
その手法として有効なのが、「顧客インタビュー」や「アンケート調査」です。具体的には、以下のようなポイントを押さえてインタビューやアンケートを実施、顧客についての理解を深めましょう。
手法 | ポイント |
---|---|
インタビュー | ・受注顧客に対して、購入理由や決め手・比較検討した他社などをヒアリング ・失注顧客には、なぜ選ばなかったのか、何が足りなかったかを確認 |
アンケート | ・スコア評価(例:対応満足度/価格妥当性)と自由記述を併用してさまざまな視点で意見をもらう ・商談後にGoogleフォームなどを使って簡易的に実施する |
インタビューとアンケートを組み合わせることで、「数の傾向」と「質の深掘り」の両面から顧客理解を進めることができます。
得られた声を営業資料や提案プロセスに反映し、勝ちパターンの再現性向上を図りましょう。
営業コンサルに相談する
自社だけで商談の最適化を進めるのが難しい場合は、営業コンサルタントへの相談も効果的です。
特に、営業体制が属人的で仕組み化できていない企業や、成果が伸び悩んでいる企業にとっては、外部の視点を取り入れることで新たな突破口が見えてくるケースも少なくありません。
【営業コンサルに依頼するメリット】
- 商談プロセスや営業フローを第三者目線で客観的に分析してもらえる
- 成果を上げている他社の成功事例や業界のベストプラクティスが得られる
- 営業マニュアル・トークスクリプト・KPI設計などの仕組み化支援が可能
【営業コンサルが向いている企業の特徴】
- 営業成果が伸び悩んでおり、原因が不明確
- 営業経験者が少なく、体系的な営業手法が構築できていない
- 営業部門とマーケ部門の連携がうまくいっていない
一時的なテクニックに頼るのではなく、「受注率を安定的に高める仕組み」を作るには、営業のプロによる伴走支援を受けることも検討しましょう。

BtoBのマーケティングそのものがうまくいっていない場合は、マーケティング支援会社のサポートを受けるのも選択肢の一つです。

BtoBマーケティングで成果を上げるためのポイント
ここまで、リード獲得・育成から商談・受注まで、BtoBにおけるさまざまなマーケティング手法を紹介してきました。
しかし、個別の施策を実行するだけでは、必ずしも期待した成果にはつながりません。
そこでここからは、BtoBマーケティングで着実に成果を上げるために押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
各指標についてKPIを設定する
BtoBマーケティングでは、施策ごとの効果を正しく評価し、改善につなげるためにKPI(重要業績評価指標)の設定が不可欠です。
単に「リード数が増えた」「アクセスが増えた」といった感覚値ではなく、明確な数値目標を設け、定期的に進捗を確認することで施策のPDCAを回せます。
例えば、以下のような段階別のKPIが考えられます。
ステージ | 主なKPI例 |
---|---|
リード獲得 | 流入数、CV数、CVR、CPA |
リード育成 | メール開封率、クリック率、セミナー参加数 |
商談獲得 | 架電数、アポ率、商談化率 |
商談最適化 | 受注率、平均単価、失注理由の明確化 |
また、各KPIについて数値目標を設け、社内で共有したうえで営業・マーケ・CS部門が連携しながら改善していくことが大切です。
マーケティング・営業・CSの連携
BtoBマーケティングで成果を上げるには、マーケティング、営業、カスタマーサクセス(CS)が部門を横断して連携することが欠かせません。
BtoBのマーケティングは、リード獲得・リード育成・商談化・商談のそれぞれのフェーズで異なる担当者が施策を実施します。そのため、どれか一部門だけで頑張っても、最終的な成果に結びつきにくくなってしまいます。
例えば、マーケ部門が獲得したリードの情報を営業部門が把握していなかったり、営業が受注した顧客情報がCSにうまく引き継がれていなかったりすると、せっかくの商機を逃すおそれもあるでしょう。
部門間の連携を強化して成果を最大化するには、以下のような取り組みが効果的です。
- 部門間の情報共有を目的とした定例ミーティングの実施
- 共通KPI(例:受注率・リード獲得数など)の設定
- CRM・SFA・MAツールでのデータ連携
- カスタマージャーニーを全社で共有し、役割分担を明確化
マーケティング施策の優先順位を把握する
限られたリソースのなかで成果を上げるには、すべての施策を一度に行うのではなく、優先順位を明確にして取り組むことが重要です。
施策の効果や緊急性、ボトルネックの位置によって、注力すべき領域は企業ごとに異なります。
例えば、「資料請求は多いが商談につながらない」という場合は、ナーチャリングやインサイドセールスの改善が優先課題です。
一方、「そもそも問い合わせが少ない」なら、SEOや広告によるリード獲得に注力すべきでしょう。
闇雲に手を広げず、「最も成果インパクトの大きいところから着手する」ことが、BtoBマーケティング成功の近道です。
まとめ
本記事では、BtoB領域におけるマーケティング手法を、各フェーズごとに網羅的に紹介しました。
BtoBマーケティングでは、リード獲得から受注に至るまでの各フェーズで適切な施策を選定・実行することが重要です。
SEOや広告、展示会、ウェビナーなど多様な手法がある一方で、それぞれの施策がどの段階に効果を発揮するのか、そして自社の体制や目的に合っているのかを見極める必要があります。
また、マーケティング部門だけで成果を出すのは難しく、営業やCSとの連携、データをもとにしたKPI設計、継続的な改善活動が不可欠です。
個々の施策を点ではなく「線」でつなぎ、顧客との関係性を長期的に築いていく視点が求められます。
本記事で紹介した27の手法を活用しながら、自社の課題や目的に合わせたマーケティング戦略を組み立ててみてください。
必要に応じて、専門の支援会社やコンサルティングの活用も視野に入れると、より実行力のある施策展開が可能になります。