- Googleのページランク(PageRank)の概要
- 現在のページランクのSEOへの影響
- ページランクの調べ方や上げ方
- ページランクの仕組み
この記事の著者:渡邉 志明(シュワット株式会社 代表取締役)
SEOコンサルティング会社の経営者。
これまで複数のwebメディアの立ち上げ~黒字化にPM・SEO責任者として携わる。コンテンツSEOによるメディアのグロースやインハウス化支援が得意。
SEO対策を進めるうえで知っておきたい言葉のひとつである「Googleのページランク(PageRank)」
ページランクは一見複雑ですがシンプルに説明すると、多くの重要なページからリンクされているページは、それ自体も重要であるとみなすアルゴリズムのことです。
本記事では、ページランクの概要からSEOへの影響、調べ方や上げ方までわかりやすく解説。
また、ページランクの歴史(遍歴)や詳しい仕組みまで詳しく説明しています。
ページランクについてSEO担当者が知っておきたい情報を網羅しているので、ぜひご一読ください!
- 狙ったキーワードで検索上位がとれていない
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Googleのページランク(PageRank)とは?
Googleページランク(PageRank)とは、Webページの重要度を評価するためのGoogle独自の指標です。
簡単に言うと、他のWebページからの被リンク数と質を評価することで、そのページの重要度や人気度を測るアルゴリズムになります。高品質なリンクが多いほど、そのページは価値があると判断され、より高い検索順位にランキングされます。
ページランクは”0”~”10”の11段階で表され、数字が高いほど評価も高いです。
以前は、Googleツールバーでページランクの数値を調べることができましたが、現在その機能は廃止されました。
ただしページランク自体が無くなったというわけではなく、2024年現在でも引き続き重要なコンテンツ評価の指標として用いられています。
Googleという検索エンジンがシェアを伸ばし頂点に君臨した大きな要因に、このページランク技術があります。
それでは、誕生の背景を見ていきましょう。
ページランク誕生の背景
Googleのページランク誕生の背景には、インターネット黎明期の検索エンジンの課題と、創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの革新的なアイデアがありました。
①従来の検索エンジンの問題点
1990年代半ば、インターネットが普及し始めるとともに、ウェブページ数が爆発的に増加しました。しかし、当時の検索エンジンは、キーワードの出現頻度だけで検索結果を表示していたため、以下の問題点がありました。
- 質の低いページが上位表示される:キーワードを大量に詰め込んだだけの、内容の薄いページが上位に表示。
- スパム行為が横行:検索エンジンのアルゴリズムを悪用し、不正に検索順位を上げるスパム行為が横行。
- ユーザーのニーズに合致しない:ユーザーが求める情報とは異なるページが表示されることが多かった。
これらの問題点により、ユーザーは求める情報にたどり着くまでに多くの時間と労力を費やす必要がありました。
②ページランクの誕生
スタンフォード大学の博士課程に在籍していたラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、これらの問題を解決するために、ウェブページの重要度を評価する新しいアルゴリズムを開発しました。それが「ページランク」です。
ページランクは、被リンクの数と質に基づいてウェブページの重要度を評価するアルゴリズムです。重要なページは多くのページからリンクされているという考えに基づき、被リンクが多いページほど高いランクを与えます。また、リンク元のページの重要度も考慮することで、より正確な評価を実現しました。
ページランクの導入により、キーワードを詰め込んだだけの低品質ページではなく、質の高いページが上位表示されるようになり、ユーザーはより効率的に情報にアクセスできるようになりました。 スパム行為も抑制され、インターネットの利便性が飛躍的に向上しました。
しかし、時が経つとページランクはSEO対策として被リンクを不正に増やす行為を誘発することにもつながりました。
そのため、Googleは2016年にページランクの公開を停止しています。
なお、公開自体は停止していますが、引き続き検索順位を決定する要因のひとつです。
ただし、現在では検索順位の決定に用いられるアルゴリズムは数百種類にも及び、かつてのページランクや被リンク獲得だけが重要な時代は終焉を迎えています。
今、SEO対策をするならコンテンツの品質やサイト速度など、多岐にわたる項目を総合的に最適化していくことが大切です。そして、ユーザーにとって有用なサイトやコンテンツを作ることが何よりの成功への近道だと言えるでしょう。
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ページランクの歴史(遍歴)
ページランクは、誕生以来何度か更新が行われており、ここではその遍歴(歴史)について紹介していきます。
ページランクは上図のように、誕生以来様々な変更が行われ現在に至ります。
ページランクは”非公開”になったが”廃止”はされていない
ページランクは、以前までGoogleツールバーで調べることができましたが、現在は”非公開”となっています。
非公開ではありますが、廃止はされていません。依然として検索順位を決定づける重要な指標のひとつです。
以下のようにページ評価の様々な側面で用いられています。
E-E-A-Tのアルゴリズムの一つになっている
2024年現在もページランクは引き続き検索ランキングを決定する要素として用いられており、E-E-A-Tを構成するアルゴリズムの一つとなっています。
E-E-A-Tは、Googleがウェブサイトやコンテンツの品質を評価する際に重視する、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の4つの要素の頭文字を取ったものです。
E-E-A-Tの中でも、Trustworthiness(信頼性)とAuthoritativeness(権威性)に対してページランクが用いられています。実際のGoogle公式文書は以下の通りです。
Google のアルゴリズムは、信頼性と権威性に相関するページに関するシグナルを特定します。これらのシグナルの中で最もよく知られているのは PageRank です。これは、Web 上のリンクを使用して信頼性を理解します。
引用:Google「How Google Fights Disinformation」
実際、Ahrefsの行った調査では、リンク否認ツールを使用して被リンクを無効化し意図的にページランクを下げたところ、以下のように明らかな検索ランキングの低下や流入数の減少が起こりました。
このようにページランクは依然として、Googleの検索ランキングアルゴリズムの重要な要素の一つとして引き続き用いられているのです。
なお、E-E-A-Tについて詳しく知りたい方は、「E-E-A-T(旧E-A-T)とは?評価基準と対策方法20選」を参考にしてください。
クロールバジェットに影響を与える
ページランクはクロールバジェットにも影響を与え、ページランクが高いページはクロール量が増える傾向にあります。
なお、内部リンクの数も影響を与えるため、外部リンクを集めにくいページのクロール頻度を増やしたければ、外部リンクを多く集めているページからそのページへの内部リンクを設置しましょう
内部リンクの適切な設置方法について詳しく知りたい方は、「内部リンクとは?SEO効果を最大化する張り方をわかりやすく解説」を参考にしてください。
正規化シグナルとして用いられる
ページランクは20種類ある正規化シグナルの一つとして用いられています。
ページが正規化されると、同じような内容を持つ複数のページが存在する場合、検索エンジンがそのページのインデックスを作成しユーザーに表示します。
ページランクが高いページは、正規化される可能性が高いです。
ページランクは引き続き重要なので、検索順位を上げたい重要ページには意識的に自然なリンクが集まるようにリンクビルディング施策を実施する必要があります。
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ページランクの調べ方
2024年現在、ページランクは非公開になっているため調べられませんが、類似した数値なら調査可能です。
ページランクに類似した数値が測定可能なツールには以下のようなものが挙げられます。
- Ahrefs
- Moz Pro
それぞれ使い方や特徴を紹介していきます。
Ahrefs
世界的に有名なSEOツール「Ahrefs」では、ページランクと似た指標としてUR(URL評価)が測定可能です。
URは、ページランクを算出する式と多くの共通点のある計算方法を用いて算出されるため、類似した数値として十分に利用可能でしょう。
測定方法は簡単です。Ahrefsに調べたいページのURLを入力するだけで、以下のように算出されます。
ただし、URを調べるには、Ahrefsの有料プランに登録する必要があります。
URの調査機能の他、被リンク調査やリンク切れ調査、競合のキーワード調査、キーワード順位定点観測など多彩な機能を持った優秀なツールです。
SEO対策に本格的に取り組む場合には、有料利用の価値があるため検討してみるとよいでしょう。
Moz Pro
Ahrefs同様に世界的に有名なSEOツールである「Moz Pro」でもページランクに似た数値が調査可能です。
DA(ドメインオーソリティ)という指標が測定可能ですが、ページ単位ではなくドメイン単位の値になります。
ドメイン単位ではありますが、被リンク評価を元に算出されているのである程度は参考になるでしょう。
(ページランク測定を目的とするならば、AhrefsのURには明確に劣ります)
DAの調査なら無料で使用できます。
MOZ ProのFree Domain Authority Checkerを開き、調べたいサイトのドメインを入力しましょう。
以下のように、DAや参照ドメイン数などが調査可能です。
なお、Moz Proは小規模サイトだと十分なデータがなく、数値が出てこない場合もあるのでご注意ください。
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ページランクの上げ方
ページランクの上げ方には、主に以下のような方法があります。
- 外部リンク(被リンク)を獲得する
- ページランクを上げたいページへの内部リンクを充実させる
それぞれ解説していきます。
外部リンク(被リンク)を獲得する
ページランクは外部リンク(被リンク)の数や質を元にした指標であるため、当然被リンクの獲得をすることで上げることができます。
従来は被リンクの数をとにかく増やせばページランクを上げることができましたが、現在重要なのは被リンクの質です。
低品質な被リンクをいくら増やしても検索順位向上につながらないばかりかペナルティのリスクもあるため、以下の高品質な被リンクの条件を理解し獲得施策を進めていきましょう。
- 権威性(ページランク)の高いサイトやページからの被リンク
- 関連性の高いサイトからの被リンク
- コンテンツの編集上自然に設置された被リンク
- ページのより良い位置に設置してある被リンク(フッター<本文)
- アンカーテキストや周辺テキストに対策キーワードが含まれた被リンク
- nofollow属性が付与されていない被リンク
特に重要なのは関連性の高いサイトからの被リンクであるかどうかです。
実際、Googleで検索エンジンのエンジニアだったマットカッツ氏もインタビューで以下のように述べています。
「…ページランクの高いページからリンクを取得することは、かつては常に価値がありましたが、今日では、サイトのテーマとあなたのサイトのテーマの関連性が重要になっています。関連性が新しいページランクです。」
Ex-Googler: “To Please Google With Your SEO, Forget About SEO”
自社の取り扱う情報に関連性の高い情報を扱うサイトから被リンクを集めるようにしましょう。
なお、被リンクの獲得方法について詳しく知りたい方は、「被リンク獲得方法 完全ガイド|正しく効果的な被リンクの増やし方」を参考にしてください。
ページランクを上げたいページへの内部リンクを集中させる
ページランクを上げたいページに対して、内部リンクを充実させるのも方法の一つです。
PageRankは内部リンクを通じて受け渡しが行われるため、検索順位を上昇させたい重要なページには内部リンクを集中させるようにしましょう。
また、どこのページからも内部リンクが設置されていない「孤立ページ」は、検索順位上昇を重視ている場合は避けるようにしてください。(孤立ページにはクローラーも訪れにくいです。)
なお、ただ内部リンクを設置すればいいというわけではありません。
Googleのリーズナブルサーファーモデルに即した方法で内部リンクを設置することが大切です。
リーズナブルサーファーモデルとは、Googleが取得しているリンクに関連した特許の一つで、ページ内のクリックされやすいリンクに対してより多くのPageRankを配分するアルゴリズムです。
このモデルに即して、PageRankを受け渡したいページへの内部リンクは以下のようなポイントをおさえて設置するようにしましょう。
トピッククラスターモデルを意識した内部リンク設置
- トピッククラスター郡の中で相互にリンクを設置する
- 重要性が高いピラーページへのリンクはページ上部など評価されやすい位置に設置する
- すべてのクラスターページからピラーページにリンクを設置する
- 他のトピッククラスター郡の全く無関係なページへとリンクを設置しない
その他の要素を意識した内部リンク設置
- アンカーテキストにリンク先ページの対策キーワードを自然に含む
- 周辺テキストにもリンク先ページの対策キーワードを自然に含む
- クリックされやすい色やサイズのリンクにする
- 重要なページへのリンクはできるだけテキストリンクにする
- 重要なページへのリンクはできるだけ評価されやすい位置に設定する
- ユーザーに配慮した自然なリンク設置をする など
このようなポイントをおさえて、内部リンクの設置方法を最適化しましょう。
サイトとして特に重要視しているページへのリンクは、グローバルナビやページ上部などに設置するのが効果的です。
なお、リーズナブルサーファーモデルについて詳しく知りたい方は、「リーズナブルサーファーモデルとは?意味やSEO対策への活かし方」を参考にしてください。
また、リーズナブルサーファーモデルを元にしたキーワード選定と内部リンク構造戦略であるトピッククラスター戦略について知りたい方は、「トピッククラスターモデルとは?SEO効果や作り方、事例まで」を参考にしてください。
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ページランクの詳しい仕組み|どんな算出方法?
ここでは、ページランクの仕組みについて解説しますが、マニアックな内容なので読み飛ばしていただいてもOKです。
(SEO対策に取り組むうえで、仕組みまで理解しておく必要は全くありません。)
ページランクの評価ポイントは、量と質の2つです。
- 量:被リンクの数が多ければ、ページランクが高まる
- 質:被リンクの質が良ければ、ページランクが高まる
さて、ページランクの算出方法は以下の通りです。
(初期に採用されていた数式になりますので最新のものとは異なっているためあくまで参考にしてください。)
まず、Web上にT1…TnまでNページ存在しており、あるページAがそれぞれからリンクを受けている場合、ページAのページランクを算出する計算式は以下のようになります。
PR(A) = (1-d) + d * Σ(PR(T_i) / C(T_i))
- PR(A):ページAのページランクのこと
- PR(T_i):ページAにリンクしているページT_iのページランク
- C(T_i):ページT_iから出ているリンクの総数(発リンクの数)
- d:ダンピングファクター (通常は0.85)
はじめに、計算式のうち[Σ(PR(T_i) / C(T_i))]の箇所は、リンク元のページランクを発リンク数で割っている数式です。つまり、被リンクを受けるとページランクが高まり、発リンク数に応じてその分減少することを表しています。
この数式を見ると、発リンクはしない方がいいのではないかと考える方がいますが、そんなことはありません。現在ページランクの数式において発リンクの箇所は変更がなされていると見られ、Googleからも「十分な量の正確な情報と信頼できる外部参照を含む [記事] は、通常、高レベルに評価されます。」と示されています。つまり、ページに発リンクを設置しないようにする、すべてにnofollow属性をつけるといった施策はむしろマイナス影響を与える可能性が高いです。
続いて、[d]は減衰係数を表しています。ページランクには、一切リンクを受けていないページでも最初に初期ページランクとして(1-d)を与えており、その仕組みを反映するために[d]が数式に含まれているのです。
では具体例として、以下の条件でページAに、ページBとページCがリンクしているとします。
- ページBのページランク:PR(B) = 0.5、ページBからのリンク数:C(B) = 2
- ページCのページランク:PR(C) = 0.8、ページCからのリンク数:C(C) = 4
- ダンピングファクター:d = 0.85
この際、ページAのページランクPR(A)は、以下の通りです。
PR(A) = (1 – 0.85) + 0.85 * (PR(B) / C(B) + PR(C) / C(C))
= 0.15 + 0.85 * (0.5 / 2 + 0.8 / 4)
= 0.15 + 0.85 * (0.25 + 0.2)
= 0.5325
現在のページランクは上記以外の点も考慮して算出されています。
自分で導き出すよりは、AhrefsのURを参考にするのが一番効率的です。
なお、より詳しく計算方法を知りたい方は、論文「The Anatomy of a Large-Scale Hypertextual Web Search Engine」を参考にしてください。
まとめ:現在もページランクは重要!適切な方法で対策をしよう
ここまで、ページランクについて概要や歴史、具体的な対策方法まで詳しく解説してきました。
誕生から20年以上たち様々な変更が行われているページランクですが、現在も引き続き検索順位を決定する要因として用いられています。
したがって、WebサイトのSEO対策を進めるうえでは、意識的にページランクを高めていくことが大切。
ページランクを高められるように、質の高い被リンクを集める施策を実施していきましょう。
被リンク獲得方法について詳しく知りたい方は、「被リンク獲得方法 完全ガイド|正しく効果的な被リンクの増やし方」を参考にしてください。
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参考文献
- ページランク – Wikipedia
- Page Rank – Googleによるウェブページ評価アルゴリズムの歴史と進化 – Copymate
- Google のページランクについて – 横浜市立大学国際総合科学部 藤井一幸/山形大学名誉教授 大池宏清
- The Anatomy of a Large-Scale Hypertextual Web Search Engine – Brin, S.; Page, L.
- Google’s PageRank and Beyond – Amy N. Langville, Carl D. Meyer
- 現場のプロから学ぶSEO技術バイブル – 西山 悠太朗 (著), 小林 睦 (著), 丸山 弘詩 (編集)